自然河川の地形は美しいです。重力にひかれて流れる水は流れの向きを変えながら土砂を運びさまざまな地形を作ります。現代の河川は人工改変され完全に自由な流れではありませんが、制限された流れの中でも興味深い地形を作ります。
ということで河川内の細かい凸凹を見たいのです。陰影図や赤色立体地図などで詳細なテクスチャは作れるが、細かい凸凹の程度はよくわかりません。短い区間であれば標高で色分けすれば河川内の高低差もわかるが区間が長いとそれも難しいです。
ということで、水面からの高さを色分けしたら河川内の凸凹がわかりやすくなりそう。こうした手法は相対標高などと呼ばれていていくつかの作成方法が提案されています。ここでは標高の基準となる線(主流路)をひいて、主流路標高に対応するサーフェイスを作り、元の標高との差分をとることで作るました。
今回は静岡の大井川を対象にやってみました。大井川は網状流になっているので、空中写真等を参考に「主流路」を設定して、そこからの相対的な高さを算出して色付けしました。
上図は大井川の「鵜山の七曲がり」付近。相対標高の色付けは低い方から青→黄緑→黄色、という感じです。単に可視化という面では黄色より高いところに赤系統を割り当てるともうちょっと高低差がわかるようになると思いますが、赤まで使うと何となく美しさが損なわれる感じだったのでこういう感じにしました。かっこよさ優先です。背景は普通の陰影図。
下図は七曲がりより下流の蓬莱橋付近。「川底からの高さマップ」と「標高色分けマップ」の比較。凡例つけ忘れましたが、地図の範囲内で河川内標高差は約20m(左が上流)です。20mの標高差に色を割り当てるより相対標高で色塗りした方が微地形がよく見えますね。
使ったデータ
VIRTUAL SHIZUOKA 静岡県 中・西部 点群データ
この文章は2023年12月に書き始めてしばらく放置して2024年4月に公開しました。